2019.10.10
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税金

相続税法の改正で知っておきたいポイントとは?

(写真=beeboys/Shutterstock.com)
(写真=beeboys/Shutterstock.com)
2018年7月に相続税法が改正されました。正確な名称は「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」の改正です。本改正を行うことで、万が一、家の所有者が亡くなった後も配偶者は家に住みやすくなります。また相続についても、これまで遺産分割で起きていた課題などが解決されやすくなりました。

そこで本稿では1980年以来の改正となる相続税法とそのポイントについて説明します。

従来の相続税法の問題点

1980年以降、相続税法は大きな改正を行っていませんでしたが、その間、高齢化の進展をはじめ、社会情勢は大きな変化を遂げてきました。その結果、配偶者が亡くなった後の居住権など、生活の実態に見合わない部分が出てきたのです。例えば家の所有者の父親が亡くなった後、高齢となった母親がその家に住み続けられるかという問題が挙げられます。

本改正は、このような状況から配偶者を保護することがテーマの一つです。ほかにも遺言方式の緩和をはじめ、より実態に即した相続ができるよう施行された制度であるといえます。

配偶者居住権とは

本改正の一つである「配偶者居住権」とは、遺産分割を行う際の選択肢の一つです。配偶者居住権は、土地や家などの所有者に先立たれた場合、配偶者が一定期間これまで使用していた建物に住み続けられる権利を指します。例えば家の所有者である父親が亡くなり、配偶者と子どもが複数人いた場合、父親の財産は配偶者と子どもを含めた法定相続人全員で分割協議をすることが必要です。

そうなると場合によっては、母親は家に住み続けることができなくなるおそれも出てきます。配偶者居住権とは、このような事態を回避するために設けられた制度です。本改正では建物の権利を「負担付きの所有権」と「配偶者居住権」とに分割します。この場合の「負担」とは、建物に配偶者が住んでいることを指しています。

そのため建物の所有権を持っている相続人であっても配偶者が住んでいる限り、建物を売ったり貸したりすることはできません。またその分建物の評価額が低く押さえることができます。その結果、配偶者はこれまでの建物に住みつつ、現金や有価証券などほかの財産も相続しやすくなるため、将来の生活費に充てることができるようになるという仕組みです。

遺産分割の持戻しと預貯金の払い戻し

本改正は配偶者保護の観点に主眼が置かれています。これは本改正のポイントである「遺産分割の持戻し」や「預貯金の払い戻し」についても同様です。「遺産分割の持戻し」とは、例えば生前に持ち家などを配偶者に贈与したとしても、所有者の亡くなった後、相続を行うにあたり持ち家などを遺産として事前に受け取ったとみなされてしまう制度のことです。

このため配偶者の将来を心配して事前に贈与した財産であっても、いざ相続が始まり遺産分割が行われる際には贈与財産も遺産として戻されてしまっていました。そこで本改正においては、配偶者が贈与の趣旨に則って多くの財産を取得できるよう、これまで生前贈与とみなされていた分を遺産の先渡しとは取り扱わないよう見直しが図られたのです。

また財産を持っていた被相続人が亡くなった後、これまでは遺産分割が行われるまで預貯金の払い戻しができませんでした。この結果、配偶者の生活に不備が生じたり、葬儀費用の捻出ができなくなったりするなどの懸念がありました。「預貯金の払い戻し」はこのような課題を払拭し、被相続人の預貯金を遺産分割前でも下ろせるように便宜が図られたものです。

ほかにも広範にわたる改正点が

今回の相続税法の改正は、現代の実情により即した内容となっています。これまでは自筆証書遺言を作成するにあたり、全文を本人が手書きで行わなければなりませんでした。この中には財産目録なども含まれており、高齢者が行うには大きな負担になっていた一面があります。しかし本改正ではパソコンによる財産目録の作成が認められ、また通帳のコピーを添付することも認められるようになりました。

ただし偽造防止のため、本人の署名と押印は必須ですのでこの点だけは忘れないようにしておきましょう。

緩和要件と内容の変更を精査しておこう

本改正では上記のほか、相続に関するさまざまな見直しが図られています。法務局を利用した遺言の保管方法や不動産など共有しにくい財産の遺留分制度の請求など、細かな点を含めてさまざまです。そのため万が一相続を行うのであれば、事前にしっかりと改正内容を押さえておくことが必要といえるでしょう。
 

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