2019.9.6
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税金

活用次第で強い味方に。「相続時精算課税制度」とは

(写真=Onchira Wongsiri/Shutterstock.com)
(写真=Onchira Wongsiri/Shutterstock.com)
日本では現在少子高齢化に加え、高齢者の貯蓄額が多く若者世代が少ないという現象に悩まされています。相続時精算課税制度は、貯蓄を消費に回すことを目的に、高齢者の財産を子どもや孫の世代に移転するために作られた制度です。

現在暦年贈与は年間110万円までが非課税ですが、相続時精算課税制度を用いれば、最大2,500万円について納税を先送りできます。本稿では、相続時精算課税制度の概要やメリット・デメリット、活用法などについて説明します。

高齢者だけが貯蓄する時代

2018年の総務省統計局の調査によると、年代別貯蓄額は40歳未満の世帯が最も少なく約600万円で、60歳以上は2,000万円を超えています。一方40歳未満の負債額は1,248万円で、60歳以上は207万円、70歳以上は104万円です。

高齢者だけが貯蓄し、若い世代は多くの負債を抱えている状況では、景気は良くなりません。しかし、生前に財産を贈与すると、多額の贈与税がかかってきます。このような資産移転の障壁があったため、これまでは財産の承継がなかなか捗りませんでした。この問題を解消し、生前贈与を円滑化するために導入されたのが、「相続時精算課税制度」です。

相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは、父母および祖父母の年齢が60歳以上で、子どももしくは孫が20歳以上の場合に選択できる制度です。贈与税は年間110万円までは非課税ですが、相続時精算課税制度を利用すると2,500万円までが非課税となり、2,500万円を超えた分には20%の税金が課されます。

相続時精算課税制度を利用した時点での相続財産と、その他の相続財産と合算した総額が基礎控除を超えた場合は、相続時に改めて課税されます。

相続時精算課税制度のメリット

相続時精算課税制度のメリットは、2,500万円という大きな非課税枠を利用できることです。相続税の基礎控除額は「3,000万円+法定相続人数×600万円」であり、相続財産の総額がこれに収まるのであれば相続時でも税金がかからないため、相続時精算課税制度はさらに有効になります。

相続時精算課税制度では、贈与した時点の評価額で相続額が決定します。たとえば、今後値上がりが予想される株式や不動産などを保有している場合、相続時精算課税制度を利用して先に贈与額を確定しておけば、その後値上がりしたとしても、その分が節税できるのです。

相続時精算課税制度は、収益を生み出す物件などを保有しているケースでも有効です。物件は収益を生みますが、それを貯めていくと相続時に課税されます。しかし、相続時精算課税制度を利用して親から子どもなどに物件を贈与すれば、子どもに収益(不動産収入)を移転できるため、その分は相続時に課税されずに済むのです。

相続時精算課税制度の注意点

相続時精算課税制度にも、注意すべき点があります。相続時精算課税制度を選択すると、それ以降は年間110万円までの非課税枠が利用できなくなります。相続時の基礎控除額を超える財産を保有しており、かつ時間に余裕がある場合は、毎年110万円ずつ贈与していけば税金はかかりませんし、相続財産を減らすこともできるのです。

また、相続時精算課税制度を選択した場合は、「小規模宅地等の特例」を利用できなくなります。小規模宅地等の特例は、土地の評価額を大幅に下げることができる制度なので、どちらを選ぶかはよく検討する必要があります。

賢く活用すれば強い武器に

相続時精算課税制度には注意すべきポイントもありますが、活用次第では節税しつつ資産を前倒しで移転できる制度です。ただし、一度選択すると後戻りができない制度なので、ご自身が受け継ぐ財産の内容や評価額をよく調べてから選択するようにしましょう。
 

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