2018.7.26
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不動産投資

本当は怖い!?米国不動産投資の特徴とリスクに迫る

(写真=S.Borisov/Shutterstock.com)
(写真=S.Borisov/Shutterstock.com)
日本では富裕層を中心に米国不動産投資への関心が高まっています。その理由としては、米国経済が好調であることと、米国不動産投資には、それならではの特徴があるからといわれています。本稿では、米国不動産投資の特徴と、日本における不動産投資の比較について解説します。

米国不動産投資が注目されている理由

米国不動産投資が注目される理由としては、まず、先進国でありながら人口が増え続けていることが挙げられます。米国の人口は2017年7月末時点で3億2,450万人、2030年には3億5,000万人を突破する見込みです。人口が増えれば、それに伴って住宅需要も増え、不動産市場がより活性化する可能性があるのです。

また、米国の経済成長率も注目すべきポイントです。2017年の米国の名目GDP(国内総生産)は約19兆米ドルで、世界全体の約1/4を占めます。2016年度のGDP成長率も、日本は年1.1%にとどまるのに対し、米国は年約1.6%と、先進国でありながら比較的高水準を維持しています。1人あたりのGDP も、2016年度における日本の1人あたりのGDPが約3万8,000米ドルであるのに対し、米国は約5万7,000米ドルです。

とは言え、人口が増加傾向で経済成長が見込める国は、新興国をはじめとして他にも多く存在します。なぜ米国不動産投資に注目が集まっているのでしょうか。それは、米国特有の不動産投資環境に理由があります。

米国不動産投資 3つの特徴

① 「ノンリコースローン」がスタンダード
米国のローンは「ノンリコースローン」と言われるものがスタンダードです。ノンリコースローンとは、端的に言えば人ではなく、物件そのものを担保にすると言うことです。このため、万一ローンの返済ができなくなっても、物件を手放せばそのローンは終わりとみなされます。

ノンリコースローンは一見するとおトクなように見えますが、是々非々の側面を持っています。不動産の融資を申し込む際、日本では基本的に借り手に対して審査を行います。信用状況がきちんとしている人であれば、貸し手となる金融機関も安心できるため、それに伴って低い金利での融資が可能となるのです。一方、ノンリコースローンはあくまでも物件そのものが担保です。借り手がどのような人間であるかは問われません。このため、当然、金利は高くなり、その分、家賃もかさむため、事業用物件として扱うのが難しい側面も出てくるのです。

②外国人でも参入しやすい
米国では外国人に対する不動産投資規制がほとんどありません。外国人でも米国の土地や建物を自由に売買でき、不動産関連の法律は外国人にも平等に適用されます。また、不動産会社とは別に「エスクロー」と呼ばれる第三者機関を介することも安心感につながっています。エスクローは売り主・買い主双方の契約事務・履行・決済の管理を行う中立的な機関で、代金を持ち逃げされるなど不動産売買によく見られるトラブルを避けることができます。

これに関しては「カントリーリスク」と言う、ある意味、万国共通の悩みどころが頻出します。例えば日本国籍であっても、長年米国に住んでいて、米国を知り尽くしている人であれば、米国で不動産投資をしても問題はないかもしれません。しかし、日本に住んでいて現地事情に疎いにも関わらず、米国で不動産投資を行うと、こちらが預かり知らぬうち、いつの間にか税制や法律が変更していると言うことが起こり得ます。

カントリーリスクは、米国のみならず、海外投資すべてに生じ得るリスクです。国内での不動産投資であれば、事前に回避できたかもしれないリスクを、情報に疎くなりがちな海外で営むと、例えば急に税率が上がって事業が営めなくなるおそれなどは十二分にあり得ます。それどころか、事情によっては不動産の所有ができなくなったり、または、複雑な法的手続きを踏まねばならなくなったり、最悪であれば不動産そのものを没収されることも頭の片隅に置いておかねばなりません。

③ 中古物件の市場規模が大きい
米国の中古住宅流通シェアは抜きんでており、不動産取引全体の約90%を占めます。年間約516万戸が取引されており、日本のおよそ30倍です。この市場規模の大きさは、価格の適正化や法整備、関連サービス業者の成長をより促す材料です。

米国では短期での減価償却とリセール(転売)が一般的で、所有すれば定住という日本とは対照的な文化です。中古住宅市場の流動性の高さから値崩れが比較的しにくいこともあり、米国の住宅価格指数も2007年のサブプライムローンをきっかけに暴落した後しばらく停滞しましたが、2012年以降は上昇を続けています。

ここで私たちが一考しなければならないのは、サブプライムローンです。サブプライムローンは低所得者層向けの住宅ローンです。両者とも信用が極めて低いものに融資をし、また、サブプライムローンはそのリスクを証券化させて広く分散させたため、莫大な不良債権であることが発覚するまでに歳月がかかりました。

そして先に述べたノンリコースローンは、借り手を選ばない、不動産投資向けの融資です。もしノンリコースローンがサブプライムローンと同じ手口で証券化され、投資信託のようにさまざまな投資対象の中に広く組み込まれてしまえば、第二のリーマンショックを引き起こすおそれすらあり得ます。

「投資の神様」はこう語る

米国不動産投資の特徴を3つお伝えしました。ここには米国ならではの、ある共通項が浮かび上がってきます。それは貸し手も、借り手も、市場そのものも「自分がよくわかっていないものに投資する」傾向があると言うことです。

ご存知の方も多いと思いますが、米国にはウォーレン・バフェットと言う大投資家がいます。「投資の神様」と呼ばれる彼は、投資についてこのような格言を発しています。

“Risk comes from not knowing what you're doing”
(自分の行いがわかっていないとき、リスクがやってくる)

不動産投資は本来、安定感のある堅実な投資手法です。その理由の一つに、マンションと言う現物を所有できることが挙げられます。株式や為替とは違い、不動産投資は自分で物件を所有し、自分の知識と経験の及ぶ範囲であらゆるリスクヘッジができる点が強みなのです。そしてそれは自分の知っている土地で、自国語と法律、そして税制についてきちんと把握できていることが大前提です。それにも関わらず、知らない土地で法律や税制も把握できていないまま、管理しにくい物件を抱えてしまうのは、これは言い換えれば、リスクを丸抱えにしてしまうことでもあります。

売却益(キャピタルゲイン)ではなく、常に所有(インカムゲイン)を。短期益ではなく、長期保持による大きな利益を。これは先の「投資の神様」の投資手法にも通じるものです。これから不動産投資をしてみようと思っている方は、判断に迷った際、常に上記の格言を思い出してください。
 

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