2019.10.29
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資産運用

「貯蓄型の生命保険は貯金と同じ」と思ったら大間違い

(写真=fizkes/Shutterstock.com)
(写真=fizkes/Shutterstock.com)
貯蓄型の生命保険に加入していたり加入を検討していたりする人は、なぜそのタイプを選んだのでしょうか?「掛け捨てだともったいない気がするから」「資産形成のため」「貯金の代わりになるから」などさまざまな理由が聞こえてきそうです。しかしこの考え方には大きな落とし穴があります。

返戻率と利回りの大きな違い

貯蓄型の生命保険の特徴は、解約したり満期を迎えたりすると一定の返戻率にもとづいた金額を受け取れることです。原則的に返金がない掛け捨て型と比べて「貯蓄性が高い」と考え、資産運用の一環として加入する人も多いのではないでしょうか。返戻率とは、支払い済みの保険料に対する返金額の割合のことです。例えば月払いで保険料1万円の保険に加入し、満10年経ったときに解約するとします。

返戻率が70%だとすると、支払い済みの保険料120万円に対して、返金される金額は84万円しかありません。返戻率が110%なら、132万円が戻ってきます。多くの保険商品は、払込期間内に解約すると100%を大きく割り込みます。保険料の支払いを終えると100%を超える設定になっていることも少なくありません。

例えば15年払いで払込期間終了直後の返戻率が100.5%の保険商品があったとします。0.5%増えているので立派な運用と思うかもしれません。しかしこれを年率換算すると単純計算で約0.03%にしかなりません。低金利時代においても定期預金の年利は、条件次第で0.1%以上になることもあります。先ほどの15年払いのケースよりも定期預金積立をしたほうがお金を増やせるでしょう。

生命保険を資産運用として考える場合、返戻率を1年あたりの利回り(支払ったお金が増える割合)に換算し、預金や他の運用方法と比べてみることがおすすめです。

差の原因は預けたお金の使われ方にあった

超低金利の時代にもかかわらず、なぜ定期預金の利子が生命保険のメリットを上回ることがあるのでしょうか。その理由は、生命保険の仕組みを考えるとわかります。保険会社の収入源は、加入者から徴収する保険料と運用益です。保険会社はお金を預かる立場なのでハイリスク・ハイリターンな投資はできません。考えられる中でもっとも慎重な運用をします。

保険会社の支出は、他の加入者の支払いに回る「純保険料」と保険会社の経費である「付加保険料」によって構成されているのです。付加保険料は従業員に対する給料や広告費などで預金など他の資産運用ではかからない費用になります。運用の利回りが低く、さらに付加保険料という経費がかかるため、返戻率は低くなりがちなのです。

もしも貯蓄型生命保険に入らずに資産運用をしていたら

貯蓄型生命保険に加入する代わりに他の方法で資産形成をしたらどうなるでしょうか。株式投資の場合、配当金の年利回りは平均2%ほどです。(2019年8月時点)毎月一定の額を積み立てると、30年後には約130%になります。もし加入を検討している貯蓄型生命保険があったら、その返戻率と比べてみてください。

ただし株価は大きく変動する可能性があります。10%になるかもしれませんし、10倍になって返ってくるかもしれません。マンション経営という手段もあります。ローンを組んでワンルームなどのマンションを買い、入居者に賃貸する手法です。ローン完済後には家賃収入を生む不動産が残ります。売却すれば現金化も可能です。例えば頭金などの初期費用が200万円、30年ローンで購入、月々の出費が平均1万円だとします。

この場合、支払総額は560万円です。「返済額が低すぎるのではないか?」と思われるかもしれませんが、ローンの大部分は家賃収入で相殺されるので、実質的な負担はローンの支払総額よりもはるかに少なくなります。完済後の売却価格が1,500万円だとすると支払総額の約3倍です。生命保険に例えると、返戻率268%にもなります。

生命保険における返戻率と資産運用における利回りは、似たような概念です。同じ期間で比べると一般的に後者のほうが高いため、将来の受取額に上記のような差が出ます。もちろん保険にはメリットもあります。死亡や高度障害など、もしものときにお金を用意できることです。これこそ保険が持つ本来の役割ですが、保険料の低い掛け捨て型で十分果たせます。

マンション経営は、生命保険の役割も兼ねられます。なぜならローンを組むときに団体信用生命保険に加入すれば、死亡時に残りのローンが免除されるからです。収入を生み、現金化も可能な資産を家族に残すことができます。掛け捨て型で保険料を抑え、その分を他の方法で運用したほうが、将来的により多くの資金を残せる可能性が高いでしょう。保険の目的はあくまでも、もしものときの保障と割り切ってください。

豊かな老後生活を送るために貯金代わりの生命保険は得策ではない

貯蓄型の生命保険は、その仕組み上、あまりお金を増やすことができません。それどころか解約時期によっては、受取額が支払った保険料を大きく下回ってしまうこともあります。保険の役割はあくまでも、もしものときの備えです。貯金代わりに使うよりも、その分のお金を他の方法で運用したほうが豊かな老後生活を送れる可能性が高いといえます。
 

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