2018.7.30
/
資産運用

政府の「iDeCo推し」の真意 老後の備えは「自己責任」の時代がくる?

(写真=Rasulov/Shutterstock.com)
(写真=Rasulov/Shutterstock.com)
iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)を始める人が増加しています。2016年末に約30万人だった加入者数は、2018年4月時点で89万人を突破しました。

iDeCoは、現役時代に節税メリットを受けながら、老後のための資金を毎月積み立てていく制度です。積み立てた掛金は全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税の節税効果が見込めます。そのうえ、運用益に通常約20%かかる税金もiDeCoなら非課税なのです。

年金が手薄な層だけの「特権」がすべての現役世代に認められた

この制度は、かつては自営業者や企業年金のない会社員など、老後の年金が手薄な層だけに認められた「特権」でした。ところが、法改正により2017年からほぼ全ての現役世代に対象が拡大されたのです。

しかし、これだけ節税メリットの大きい制度の対象を拡大すれば、国の税収には少なからず打撃があると考えられます。巨額の財政赤字を抱えているにもかかわらず、なぜ政府はこのような「大盤振る舞い」をするのでしょうか。

少子高齢化の進行により、現役世代が高齢者を支える公的年金の仕組みは限界に近づいています。現在の現役世代が老後に受け取る厚生年金や国民年金は、支給額が減ったり支給開始年齢が遅くなることは避けられないかもしれません。

税制優遇を伴うiDeCoを大盤振る舞いする背景には、「年金だけに頼らず、お得な制度を使って自分で老後資金を準備しなさい」という政府のメッセージがあるのだと考えるのが自然です。公的年金だけでは老後の生活が立ち行かないことを、国が認めているということにほかならないのです。

教育費や住宅費に直面する世代は積立による老後準備に限界も

iDeCoは原則として60歳以降でなければ引き出せないので、老後資金の形成に適した制度です。特に若い世代なら、長期で積立を続けることで大きな成果が期待できるでしょう。

しかし、40代以降の世代になると、老後までの準備期間はそれほど長くはありません。iDeCoの場合、一般的な会社員(会社に企業年金がある)や公務員が積み立てられる上限は月額1万2,000円です。40歳でスタートして20年間上限額を積み立てて、3%で運用できたとしても、つくれる資金は400万円に満たない金額です。iDeCoは有利な制度ではありますが、それだけで十分とはいえないのです。

本来なら、老後に必要な生活費と、「ねんきん定期便」などで確認できる老後の年金額を計算して、不足分を現役時代に積み立てておくのが理想です。iDeCoで足りない分は、NISA(少額投資非課税制度)など別の口座で積立投資を行う手もありますが、大学まで国公立に通わせた場合でも約780万円かかる教育費や、3,000万円前後想定される住宅ローンなど、人生の大きな出費と直面している世代には、そこまでの余裕がないのも現実です。

老後準備の選択肢は広い マンション経営は年金を補完する収入源に

運用の選択肢を広げれば、教育費や住宅ローンがある方でもできる運用はあります。例えば、マンションの大家さんになるマンション経営では、自己資金がなくても会社員としての信用を担保に融資を受けやすいと言われています。

この場合、家賃収入からローンを返済するので現役時代の負担はほとんどなく、うまくいけばローンが終わる老後には家賃収入が毎月入ってくることになります。修繕や管理などの経費はかかるので、全てが収入になるわけではありませんが、老後に年金を補完する収入源としては、頼りになるものの一つでしょう。

もちろん、どんな投資であってもリスクはあるので、十分理解したうえで選択する必要があります。それでも、「お金に苦労しない老後」というリターンは、リスクを取った人が得られる果実です。ハッピーリタイアメントを実現するか、あるいは不安な老後を迎えるか、どちらにしても「自己責任」として、現役時代の選択の結果を受け入れなければならないのです。

 

【オススメ記事】
ゆとりある老後のために資産運用を考えるべき理由
「働く」だけが収入源じゃない 欧米では当たり前の考え方とは
「バブル」から学びたい、マンション経営のメソッドとは
会社員こそ持つべき「マルチプル・ストリームス・オブ・インカム」とは
米国と比較した「感覚のズレ」 賢い人はお金に働いてもらう

PREV 米国と比較した「感覚のズレ」 賢い人はお金に働いてもらう
NEXT 「働く」だけが収入源じゃない 欧米では当たり前の考え方とは

関連記事